第4章 シーボルトの長崎歳時記<4月>-1

第四章 シーボルトの長崎歳時記<4月> 第四章 シーボルトの長崎歳時記<4月>

シーボルトお抱えの日本人絵師 川原慶賀は、江戸時代の長崎の風景、文化、動物、植物などを細やかに描き、シーボルトの傑作三部作『日本』、『日本植物誌』、『日本動物誌』のベースとなる絵を数多く残しました。本ページでは、シーボルトが長崎を描かせた美しい図版と、長崎の季節のストーリーを結びつける「シーボルトの長崎歳時記」を展覧します。

春のうららかな陽気に包まれる、長崎の<4月>の風物詩をお楽しみください。

◆季節の行事|ハタ揚げ

【春空に舞う、長崎デザイン】

長崎では春になると、長崎版凧揚げの「ハタ揚げ」という季節行事に熱中します。大きな特徴は、高く揚げるのではなく、凧糸を掛けて切りあう合戦方式になっていること。そのルーツは、インドや東南アジアのケンカ凧で、17 世紀頃、貿易船を通して出島に伝わりました。赤・青・白のオランダ国旗のようなシンプルな色合い、200 種類ほどのデザイン性の高い図柄が春空に映えます。

【ハタ揚げ体験は、風頭公園へ】

風頭公園入口には、ハタの制作・展示販売を行う小川ハタ店「長崎ハタ資料館」があり、ハタ造りの実演を間近に見学できるとともに、予約すればハタ造りからハタ揚げまでの体験も楽しむことができます。

◆季節の魚|マダイ

【桜咲く、魚の王様】

マダイは、非常に美味で、姿形や色が美しいことから「魚の王様」と呼ばれます。また、旬である春の産卵期には、体表に桜吹雪のようなピンク色の斑点が出るため、「桜鯛」とも呼び親しまれています。「海老で鯛を釣る」ということわざがありますが、タイは、まさにエビなどの甲殻類を捕食するので、その体色は甲殻類の赤みが鮮やかに出たものです。

【漁獲量日本一、新鮮なマダイは長崎で】

引き締まった白身は、癖がなく、上品な甘味があります。刺身、塩焼き、煮付け、茶漬けなど、どんな調理法にも合う万能な魚で、お祝い事にもよく使われます。マダイの漁獲量は、長崎県が日本一。長崎の食卓では、新鮮で歯応えのあるタイの刺身を、九州の甘い醤油で食すことが醍醐味です。

◆季節の植物|ビワ

【古来よりの薬効植物】

ビワは、実や葉の形が楽器の琵琶に似ていることから、その名がついたとされています。中国の仏典 涅槃経では、実、種、葉などすべてに薬効がある「大薬王樹」と記されており、葉を用いるビワ茶は咳止めなどの健康効果があるとして親しまれています。

【大ぶりで瑞々しい、長崎ビワをご賞味あれ】

長崎で女中奉公していた三浦シヲが、ビワの種を持ち帰り、自宅の庭にまいたのが日本のビワ栽培の始まりとされ、長崎のビワ生産量は日本一を誇っています。春から初夏にかけて旬を迎えるビワは、瑞々しい上品な甘さの果実のまま食べるのはもちろん、口あたりなめらかなビワゼリーで食べるのもオススメ。また、大玉の新品種「なつたより」は、柔らかくジューシーで糖度も高く、一粒だけでも贅沢な味わいです。

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