長崎くんち、本番前の楽しみ方-1

※令和5年長崎くんちは、終了いたしました※
10月7日・8日・9日の3日間、4年ぶりに開催された長崎くんちはたくさんのお客様にお越しいただき大盛況に終わりました。
また、来年のお越しを心よりお待ち申し上げております!



390年の歴史を誇る、長崎の一大イベント、秋の風物詩といえば「長崎くんち」。長崎の氏神・鎮西大社の諏訪神社(長崎市上西山町)の秋季大祭で、毎年10月7日から3日間、長崎の町を挙げて催されてきました。各時代の世相や流行を反映させた「奉納踊」は国の重要無形民俗文化財に指定され、異国情緒あふれる独特かつダイナミックな演し物の数々は、長崎市民はもちろん、観光客の皆さん一人ひとりにこれまで“万感胸にせまる”旅の記憶を刻んできました。そして今年の秋、コロナ禍を経て4年ぶりに開催!「長崎くんち」の“基本のキ”、シャギリの音を頼りに出会える、本番に向けて稽古に励む出演者たちの姿とは?「長崎くんち」B面の楽しみ方をレクチャー!

各踊町が7年に1度の大役に燃える熱き3日間。

こんな風に評される「長崎くんち」は、長崎市民であれば誰もが知る“くんちバカ”という言葉があるほど、長きにわたり、長崎の町を挙げて行われてきた市民総出のお祭りです。その起源は、1634年にふたりの遊女が諏訪神社神前に舞を奉納したことと言われています。
幕末になると歌舞伎を模した奉納踊、明治期には唐人船といった外国船の曳き物が登場するなど、貿易で栄えた長崎の豊かさと比例するように次第に豪華になり、各時代の世相や流行が反映しながら「長崎くんち」の奉納踊は確立されていきました。時計の針は進み、現代では、初日10月7日に御神輿がお旅所(おたびしょ)に移される「お下り」、9日に諏訪神社に戻る「お上り」などの御神事を中心行事とし、神社やお旅所などで奉納踊(演し物)が奉納・披露されます。神社への奉納を終えると、まちなかの会社や店舗、各家を訪れ、踊りを献上する「庭先回り(にわさきまわり)」が行われ、中日にあたる8日は、長崎市中心部の各玄関先や店先、門前がよりいっそう賑やかになります。その様子はぜひ、本番当日に体感してみてください。

現在、長崎市内には全部で踊町は58ヵ所あり、全町が7つの組に区分され、奉納踊を担当する踊町は7年に一度、まわってきます。今年2023年、4年ぶりに開催が決定、踊町に関わる人たちの意気込みがいっそうに高まっているのは想像に難くありません。

 

本石灰町 御朱印船の練習風景

前述のとおり、「長崎くんち」の本番は10月7日から9日の3日間ですが、その準備には約1年を要し、公の稽古始めは6月1日の「小屋入り」からです。その年に担当する各踊町の世話役や出演者が、諏訪神社と八坂神社で清祓いを受け、演し物の稽古に入ります。この日を境に、秋の本番に向け、厳しい練習がはじまります。
本番が近づく夏頃になると、出演者たちは子供から大人まで本番さながら練習に一層精をだし、夕方頃は、奉納踊の主な会場となる本場所(諏訪神社/お旅所/八坂神社/中央公園)を中心(マップ参照)に、長崎市内各所にある練習場では、踊りの稽古に励んだり大きな曳き物を汗だくで曳きまわす姿を見ることができます。

練習の日程や場所は踊町によってさまざまですが、運が良ければ各町から練習場所まで移動する姿に出会えるはず。観光の道中、夕刻過ぎたころに、シャギリや太鼓・鉦(かね)の音が聞こえないか、そっと耳を澄ましてみてください!

桶屋町 本踊の練習風景

万屋町 鯨の潮吹きの練習風景

練習する場所は、踊町ごとに町内の公園を使ったり、演し物を格納している倉庫の中だったり、さまざまです。町内で連携が取れているので、フットワーク軽く、日程もフレキシブルに変化させながら、本番に向けて練習に励んでいます。練習風景に出会える確率を上げたいなら、本場所(諏訪神社/お旅所/八坂神社/中央公園)をチェックするのがいちばんです!

諏訪神社
「長崎くんち」は諏訪神社の秋季大祭なので、最も大切な場所。踊馬場には歴代の演し物たちが曳きまわし躍動した後が、くっきりと浮かんでいて、それを眺めるだけでもエモーショナル。本番を想定した練習が行われるので、最も意気込んだ練習が見られます。

お旅所
諏訪神社から御神輿が「お下り」した後、鎮座する仮宮。ロケーションも好位置で、海風を感じる心地よいエリアなので、練習風景を観察するのもオススメです。

八坂神社
鍛冶屋町の奥、昔ながらの街並みを残しているエリアで、市民からは「ぎおんさん」と呼ばれ親しまれている神社。当日は踊場と観覧席が近く、迫力満点の演技が目の当たりにできると評判です。八坂神社へ続く階段に腰かけて、ゆったり鑑賞しやすい場所かも。

中央公園
4つの本場所のうち、中心市街地から最も近くあり、「眼鏡橋電停」からすぐそばといったアクセス抜群の公園。飲食店やほかの観光地から足を伸ばしやすいので、「ついで」に立ち寄って練習風景も見やすいポイントです。
 

さらに「長崎くんち」直前にはプレイベントも充実!

10月3日の夕刻には、各踊町の家々で表格子をはずし木戸口を開放するなど、家の中や庭園を道行く人に見せる「庭見せ」が行われます。表通りに面した店舗などに、傘鉾をはじめ演し物の曳物や衣装、小道具、楽器などを分散して飾ったり、出演者に贈られたお祝品を所狭しと並べて披露。いわば、長崎くんちのプレ展示会です。
その翌日、10月4日には、演し物の稽古が仕上がって準備が整ったことを踊町関係者に披露する「人数揃い(にいぞろい)」が行われます。こちらはいわば、本番と同じ衣装で、町内数か所で披露する本番前のリハーサル。「庭見せ」が外に向けた行事に対して、「人数揃い」は町内での行事です。この様子が見ることはできたら本当にラッキーです。
長崎市民・踊町の住人にとって「長崎くんち」はとっても大切。3日間のイベントに見えて、じつは年間を通した長い催しになります。無事終わった後も、当日の余韻と次回への想いを馳せながら長く噛みしめ、来年の開催へと襷を繋げていきます。そンな想いも感じながら、いろんな場所・時間で「長崎くんち」を愉しんでみては?



本番当日は「専用ナビ」が便利!
NBC長崎放送が実施している「長崎くんちナビ」というサービスなら、 各踊町の演し物の正確な位置情報がリアルタイムで分かるので、ぜひご利用を。
詳細はこちら

長崎市民のとっておきVOICE
市民の声に耳を傾けてみたら、知らない長崎がこんなにあった。今年、あなたの知らない長崎へ行こう。

大杉 哲平

大杉 哲平

踊町出身ではない私は長崎くんちの取材をするたび、その熱量の高さに圧倒させられます。しばしば感じるその温度差で、ときにはしっかり叱られたりもするのですが、本意気で当日へと向かうみなさんの姿に次第に感化され、自分もまた体温が上がっていくのを、毎度同じように感じています。庭先回りなどで撒かれる各町特製の手ぬぐいを、取材中にいただくこともあるんですが、これがとてもカッコよくてうれしいのです。熱量高く体温が上がって汗をかきかき、その雫を拭える、そんな手ぬぐいが、私の「長崎くんち」そのものなのかもしれません。

おくんちライター
大杉 哲平

 

富澤 ひかる

富澤 ひかる

今年は4年ぶりの長崎くんち。藤間流 藤間星弥 桶屋町の女役として、奉納に参加させていただきます。踊りは、先生であるおばあちゃんの存在が大きく、26年間続けています。 10年前、当時18歳で私が初めて長崎くんちに出たのが桶屋町でした。10年後また桶屋町の踊り子として出演できることになり嬉しいです。成長した姿を見て頂けたらと思います。長崎の方々また県外の方々も楽しみに待っていると思うので、期待に添えるよう長崎の町を長崎くんちで盛り上げたいと思います。町内の子ども達の踊りも可愛くて見どころです!

会社員・踊り子(藤間流 藤間星弥)
富澤ひかる

 

荒木穂波

荒木穂波

待ちに待った長崎くんち。 私は、平成26年に銀屋町鯱太鼓据太鼓として、出演させていただきました。長崎くんちの魅力は、各町内ごとの見所があること。 各踊町が7年に一度(3日間)の奉納のために、準備、練習し、その3日間で全てを出し切るところだと思っています。大人も子供も必死に練習してきているので、その気持ちが見ている人にも届き、感動を与えているのだと思います。今年はコロナ明けで実に4年ぶり!より一層、盛り上がること間違いなしです。是非その一体感を味わってほしいです!

会社員・鯱太鼓
荒木穂波

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