“幻想的な世界”に物語あり！ 長崎ランタンフェスティバルの二胡演奏者と司会者に聞く、イベントのディープな魅力と愉しみ方

“幻想的な世界”に物語あり！
長崎ランタンフェスティバルの二胡演奏者と司会者に聞く、イベントのディープな魅力と愉しみ方

長崎の冬の一大イベントとして定着した長崎ランタンフェスティバル。美しい極彩色の灯り、屋台のあたたかい中国グルメ、そして賑やかなステージイベントなどを目当てに、毎年県内外から多くの観光客が訪れます。
「2024長崎ランタンフェスティバル」は令和6年2月9日（金）〜2月25日（日）、例年の15日間より2日間延長して17日間にわたって開催！
今回の記事では、長崎ランタンフェスティバルと深い関わりのあるお二人の対談を通して、ディープな魅力と物語を二胡演奏者と司会者ならではの目線でご紹介。長年、運営に携わってきたからこそ知っているイベントの変遷や知られざる魅力、オススメの愉しみ方について、たっぷり語っていただきました！

今回対談したのは・・・？

2024長崎ランタンフェスティバル公式サイトはこちらをクリック

長崎ランタンフェスティバルとの関係の深い、
二胡奏者のシッシーチーさんとフリーアナウンサーの恒川美弥子さんにお話を伺いました！

シッシーチー
Sissi-Ji
二胡奏者/二胡教室主宰

中国・上海生まれ。幼少期より胡弓・京胡などの楽器を専門学校で学び、プロとしてアジア各国で活躍。2003年に音楽制作留学のため来日し、長崎へ。2004年から長崎ランタンフェスティバルに参加。以降、フェスティバル期間中はメイン奏者として連日ステージで二胡を演奏し、多くの観客を魅了している

恒川さん

恒川美弥子
Miyako Tsunekawa
フリーアナウンサー/野菜ソムリエプロ/野菜ソムリエアンバサダー

ドリームスエフエムにてパーソナリティを務めながら、野菜ソムリエプロとしても幅広く活動。フレッシュな情報発信を続けている。長崎ランタンフェスティバルでは、長年、湊公園や中央公園で司会を務め、明るいキャラクターと素敵な笑顔で会場を盛り上げている。

100年続くお祭りに向けて一致団結

ーはじめに、お二人と長崎ランタンフェスティバルの関わりについて教えてください。

恒川さん

初めて長崎ランタンフェスティバルのイベントMCを務めたのは、もう25年以上前になります。当時はまだイベント会場が湊公園だけで、後から唐人屋敷や中央公園会場が増え、興福寺でもイベントが見られるようになりました。現在は11名のMCメンバーでそれぞれの会場の司会を担当しています。楽器の演奏や歌、演技など、イベントに合わせて会場を盛り上げながら、期間中は何万人も来場するので、事故がないよう安全な進行を心がけています。

シッシーさん

最初に出演したのは2004年です。私はもともと中国・上海で京劇の楽団に所属していましたが、日本文化に対する興味から、長崎の大学院に留学していたんです。楽団では大勢の人と一緒に演奏するので、一人で表に出て「二胡」（註：中国の伝統的な民族楽器。2本の弦の間に挟んだ弓で弾く）を演奏するのは新鮮な気持ちでした。長崎ランタンフェスティバルは演奏だけでなく、歌や演出、構成まで担当するので、自分のやりたいことを自由に表現できる貴重な舞台です。

恒川さん

シッシーさんは舞台に立った最初の年から演奏の完成度が高く、すごい方が加わってくださったと思っていました。当時のシッシーさんはまだ日本語を勉強中で、舞台上では私が通訳のような役割で会場の皆さんにお伝えしていたのを覚えています。

シッシーさん

演奏するのは中国の伝統的な曲だけではなく、日本の名曲や流行曲、私のオリジナル曲など、多種多様な曲を盛り込みます。その日の会場の雰囲気に合わせて選曲を工夫すると、お客さんが盛り上がってくれるので、そんな時は喜びもひとしおです。二胡は伝統的な楽器ですが、若い世代にもっと普及させたいので、なるべく新しい曲を演奏するように心がけています。ステージからお客さんの顔が見えるので「あの方、昨年も来てくれた方だ」と、分かった時も密かに嬉しいですね。

恒川さん

そうだったんですね。その気持ち、分かります（笑）。私もシッシーさんも20年以上、長崎ランタンフェスティバルに携わっていますが、毎年楽しみにしているのは、さまざまな場面での出会いや交流ですよね。中華街や賑町の皆さん、観光で訪れた方たちがみな優しくて、まち全体を通してハッピーな空気感で満ちているっていう。運営メンバーも、みんなで協力しながら無事に終えようという一体感がありますね。集客数は年々増え、2013年には100万人を突破。”冬の一大観光イベント”として定着しました。次の世代に繋げていく「100年続くお祭りに」を合言葉に、100年先を見据えた活動を全員で大切に繋いでいます。

シッシーさん

普段はそれぞれに活動しているので集まるのは一年に一度ですが、深い絆で結ばれていますね。観光で訪れた皆さんにも、そんな温かな雰囲気を少しでも感じてもらえたらと思います。中国の旧正月という一年の始まりに、長崎ランタンフェスティバルで素晴らしいスタートを切ることができて嬉しいです。

五感で愉しむ、長崎ランタンフェスティバル

ーお二人ならでは、自分らしいイベントの愉しみ方を聞かせてください。

恒川さん

いつも初日に、メイン会場の湊公園にある関帝様の祭壇にお参りします。祭壇には、額に尻尾が刺さった豚の頭が並んでいますが、これは丸ごと一頭使ってお供えしましたという証なんですよ。その後、ランタン会場のお店や唐人屋敷、浜市アーケードなどを歩いて回って、会場や街の雰囲気を自分の目で見て確かめるようにしています。事前情報もありますが、MCとしてその感想をトークに盛り込むよう意識しています。

シッシーさん

私は各ステージでの出演の空き時間においしい屋台グルメを楽しんでいます。オススメは、中央公園で販売されているアツアツの焼き小籠包！上海にいた頃から焼き小籠包は大好物なので、差し入れやお土産としてもよく購入します。長崎ランタンフェスティバルの屋台で初めて、くじらカツを食べました。まち歩きをしていると、さまざまな場所で長崎らしいグルメと出会えるところも魅力だと思います。

恒川さん

ランタンの大きな変化といえば、近年に電飾がLED化したことです。灯りがすごく華やかになり、色の種類も赤色だけではなく黄色、桃色なども増えて、各会場がより一層幻想的な空間となっています。

シッシーさん

ぜひ知っていただきたい情報として、期間中に「土神堂」「天后堂」「観音堂」「福健会館」の四堂を巡る体験型イベント「ロウソク祈願四堂巡り」がありますが、四堂で流れているBGMを私が新たに作曲・演奏しました。それぞれのお堂の特徴や歴史に合わせて作った曲を、ぜひ聞き比べてほしいです

恒川さん

ランタンの光の渦がにぎやかに街じゅうを彩る“幻想的な風景”も素敵ですが、ステージイベントでは、シッシーさんによる二胡演奏をはじめ、唐人服を着た龍衆たちが約20メートルの龍体を操る「龍踊り」、「琉球國祭り太鼓エイサー」などのイベント、長崎孔子廊では中国の伝統芸能「変面ショー」が開催されるので、観光で訪れた皆さんには思い思いに愉しんでいただきたいです。

シッシーさん

五感すべてで愉しめるのが長崎ランタンフェスティバルの魅力ですね。私は普段、長崎市で二胡の教室を開講していて、その生徒たちの発表の場にもなっています。2024年も約70名の生徒が勢揃いする演奏が中央公園で予定されていて、皆さん晴れ舞台に向けて頑張って練習しています。

まちの文化・歴史を感じながら眺める美しい灯り

ー長崎ランタンフェスティバルに足を運ばれる方、旅行を検討している方へメッセージをお願いします。

恒川さん

イベント期間中は各会場や長崎市内に約15000個ものランタンが飾られるので、美しい灯りを愉しんでほしいです。旧正月の最終日、元宵節には唐人屋敷や崇福寺にたくさんの赤いロウソクが灯されます。厳粛で落ち着いた雰囲気は他の会場と雰囲気が異なるので、メインの赤いランタンや銅座川を彩る桃色ランタン、眼鏡橋周辺の黄色ランタンの幻想的な灯りと一緒に、ぜひご覧いただきたいです。

シッシーさん

古くからさまざまな人や文化が行き交ってきた長崎には、日本の「和」、中国の「華」、オランダの「蘭」が交わって育まれてきた「和華蘭文化」があります。まち並みにもそれが表れていて、例えば中華街近くの湊公園から孔子廟に向かう道の途中には有名なオランダ坂や洋館があります。こんなにいろんな景色を近くで愉しめる場所はなかなかないと思うので、きれいなランタンに彩られたイベント期間中にぜひ、まち歩きも一緒に愉しんでほしいです。

恒川さん

そして2024年2月17日は皇帝パレードの皇帝役に、長崎出身のシンガーソングライター・福山雅治さんの出演が決定しました！

シッシーさん

皇帝役として福山さんが出演してくださるのは、本当に嬉しいですね。「皇帝パレード特別版」として出島から出島メッセ長崎までのコースをパレードするとお聞きしています。

恒川さん

清朝時代のお正月に皇帝・皇后がそろって街中に出かけ、民衆と一緒に新しい年を祝う様子をイメージした「皇帝パレード」をはじめ、江戸時代に長崎に入港した唐船の乗務員たちが実際に行なっていた行列で、航海安全の神とされる「媽祖（まそ）」様を唐寺の媽祖堂に安置するまでの行列を再現した「媽祖行列」など、市内で行われるイベントは本当に盛りだくさんですよね。4年ぶりにイベントがフル開催となる長崎ランタンフェスティバル、みんなで盛り上がっていきましょう。