#008 ながさきと検番・卓袱料理
卓袱料理の宴席でしとやかに唄い舞う、⻑崎検番。本ページでは、⻑崎検番と卓袱料理の歴史⽂化のストーリーから、体験情報までご紹介します。
⻑崎のお座敷遊び ⻑崎検番
【⻑崎丸⼭ 芸事のプロフェッショナル組織】
⻑崎検番は、かつて三⼤花街の⼀つと謳われた⻑崎丸⼭にある芸妓衆組織で、現在も芸妓衆の稽古、⽼舗料亭のお座敷や観光イベント等で芸を披露する⼿配・統括を⾏っています。江⼾時代初期、丸⼭遊⼥は読み書き、歌舞⾳曲、琴、三味線、胡⼸などのあらゆる芸事に堪能でなければなりませんでしたが、江⼾時代中期以降、京都や⼤阪から⻑崎丸⼭にやってきた芸事専⾨の芸妓が芸を売る役割を引き継いだこと、1872年、遊⼥解放令で新たな公娼制度が始まり、芸妓衆を中⼼とした料亭⽂化が台頭してきたことで、次第に芸妓衆専⾨の検番組織が確⽴するようになったといわれています。
【⽼舗料亭で 粋なお座敷遊びを】
現在の⻑崎検番は、提携料亭を通して⼿配可能で、⽼舗料亭の卓袱料理などに⾆⿎をしながら、三味線と⻑唄に合わせるしとやかな⽇本舞踊を眺めて、お客も⼀緒に楽しむ粋なお座敷遊びを体験することができます。
⻑崎流の料亭⽂化 卓袱料理(しっぽくりょうり)
【⻑崎和華蘭を体現するフルコース】
⻑崎検番のお座敷といえば、⻑崎和華蘭⽂化を体現するフルコース 卓袱料理との組み合わせが定番。卓袱料理とは、中国、東南アジア、ポルトガル、オランダなどの世界各国の料理を⼤・中・⼩の⽫に盛って円卓に並べ、円卓を囲む各⼈が取り分けて⾷べる宴会料理です。幕末に京都や⼤阪の芸妓などが⻑崎の花街丸⼭を訪れたことで、上⽅の洗練された料理が伝わったこと、更に明治に⼊ると丸⼭に料亭が姿を表し、現在のように客をもてなす料亭の献⽴として整えられていきました。⻑崎の料亭は、政治談義や密会などの重要な場として、幕末の著名な要⼈にも数多く利⽤されました。
【世界の味を楽しむ 献⽴の⼀例】
「おひれをどうぞ」の挨拶から、卓袱料理は始まります。最初に円卓に出るお吸い物 御鰭(おひれ)は、伝統的には胸びれが使われたもので、客⼀⼈に対して鯛1 匹でもてなす⼼意気を表したものといわれています。献⽴の⼀例としては、⼩菜・焼き物にはオランダ由来のパイ⽣地料理、⼩菜・揚げ物にポルトガル由来の⽢い天ぷら、中鉢には中国由来の豚の⾓煮 東坡煮(とうばに)、⼤鉢にはベトナム由来の野菜炊きのスープ料理など、⼀つのコース料理で世界の味を楽しむ博覧会のような宴席を堪能することができます。