
#002 ながさきと魚
魚種・漁獲量が日本トップクラス、一年中、様々な旬の魚を食べられる《最鮮端》のさしみシティ長崎。本ページでは、長崎の魚を博物研究したシーボルトの著作『日本動物誌』魚類編の美しい絵図とともに、長崎に来たら是非食べてほしいオススメの旬の魚をご紹介します。
<本文中の魚類絵図|福岡県立図書館所蔵 シーボルト『日本動物誌』魚類編より>
春の魚
【マダイ(タイ科)- Pagrus major】
マダイの漁獲量は、長崎県が日本一。非常に美味で、姿形や色が美しいことから「魚の王様」と呼ばれます。春の旬には、体表に桜吹雪のような桃色の斑点が出るため、「桜鯛」とも呼び親しまれています。引き締まった白身は癖がなく、どんな調理法にも合う万能魚で、慶事によく使われます。
【カワハギ(カワハギ科)- Stephanolepis cirrhifer】
カワハギはフグの仲間で、透き通って歯応えのある白身もさることながら、海のフォアグラとも呼ばれる濃厚な肝も絶品。新鮮な肝を醤油に溶かして刺身をつける肝醤油とするのが定番で、カワハギの最も美味しい食べ方と言われています。
夏の魚
【マアジ(アジ科)- Trachurus japonicus】
江戸時代の儒学者 新井白石も「アジとは味なり、その味の美なるものをいう」と記したとおり、アジは味の良い魚であらゆる調理法とマッチし、日本全国で親しまれています。長崎の漁獲量は日本一で、産地では新鮮でこりこりとした刺身を、九州らしい旨味のある甘い醤油で味わうのが醍醐味。
【タチウオ(タチウオ科)- Trichiurus lepturus】
タチウオは、平たく細長い形状、白銀の体表を刀に見立てられた魚。鱗はなく、薄皮ごと食べられるので、調理の際に一手間かかりません。旬の真夏には、たっぷりと脂がのった上品な白身を塩焼きやムニエルなどで加熱調理することが定番。鮮度の良いものは、刺身でさっぱりといただけます。
秋の魚
【カツオ(サバ科)- Katsuwonus pelamis】
カツオの旬は、年に2回。春の「初ガツオ」は脂が少なくさっぱりした味わいで、秋の「戻りガツオ」は脂がのった旨味のある味わいが特徴。カツオといえば、やっぱりタタキ。表面をさっと炙り、厚めに切った刺身に塩やタレをかけて、にんにくや玉ねぎなどの薬味と合わせていただくのが絶品。
【サバ(サバ科)- Scomber japonicus】
たっぷりと脂を蓄えて旨味を増す「秋サバ」。鮮度が落ちやすいため、刺身で食べるのは限られた地域で、塩や酢で〆るか加熱して味わうのが一般的。最近は、手軽で美味しいサバ缶も一世を風靡しました。サバの漁獲量日本一の長崎では、長崎市の新・ご当地グルメ「サバサンド」もご賞味あれ。
冬の魚
【トラフグ(フグ科)- Takifugu rubripes】
長崎の養殖トラフグは、生産量日本一。フグには旨味成分グルタミン酸が豊富に含まれ、味わい深く弾力があるのが大きな特徴で、皿の意匠が透けるほどに薄切りされたてっさ(ふぐ刺し)が花形料理です。産地長崎の冬には、旬を味わう「戸石とらふぐ料理フェア」が開催されます。
【クエ(ハタ科)- Epinephelus moara】
クエはアラとも呼ばれ、大相撲九州場所で力士が英気を養う「アラちゃんこ」で有名な超高級魚。岩礁で何十年も生きて100kg近くにもなる“魚の横綱”。コラーゲンが豊富で、きめが細かくコクがある美しい白身は刺身や鍋料理でいただくと格別で、産地長崎では天然物を料亭で味わえます。
【ブリ(アジ科)- Seriola quinqueradiata】
ブリは成長に伴い名が変わる出世魚で、西日本ではモジャコ、ツバス、ハマチ、メジロ、ブリと呼び名が変わり、縁起物として親しまれています。長崎は漁獲量日本一で、旬の「寒ブリ」は、刺身はもちろん、濃厚な旨みが出汁に溶け出すブリしゃぶも絶品、〆の麺や雑炊にもよく合います。長崎ではマグロではなく、ブリなどの白身を利用した「白い鉄火巻き」があるのも珍しい寿司文化です。
【ヒラメ(ヒラメ科)- Paralichthys olivaceus】
水深3〜20mの砂泥地に生息する底魚で、冬になると特に脂がのって身が締まり、濃厚な旨味をまとって「寒ビラメ」と呼ばれます。淡白で繊細ながら、旨味成分のイノシン酸を多く含むためコクがあり、薄造りの刺身のほか、ムニエルなどで身をふわっとさせる加熱調理にもよく合います。
海のチーズ|⽇本三⼤珍味 ⻑崎からすみ
からすみは⻄洋から伝来し、⽇本では⻑崎で初めて質の良いボラの卵を原料に製造されたことから、⽇本三⼤珍味 ⻑崎からすみが誕⽣しました。実は乳酸菌発酵⾷品で、「海のチーズ」と称されるほど、深い旨味とコクがあります。⽇本酒によくあう酒の肴ですが、ヨーロッパではボッタルガと呼ばれチーズのようにパスタに和えられ、実はワインとも相性ぴったりです。また、「長崎からすみ」は令和5年、国が認めた伝統的食品として地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
