長崎港は江戸時代(1639~1858)にも日本で唯一の外国との窓口として開かれていましたが、開港後も貿易港として重要な位置を占め、税関が置かれました。
この派出所の建物は1898年に新築されました。庁舎は煉瓦(れんが)造り、平屋建(ひらやだて)で、正面の両端に三角破風(はふ)を見せ、中央部にはアーチ型の出入り口を開き、海側の正面性を重視した建物です。全面中央部には広い土間(どま)の検査場があり、その周囲に倉庫・事務所等が配置されています。建物の後方には渡り廊下でつながれた便所があり、敷地は煉瓦塀(れんがへい)で囲まれています。
小規模ですがよくまとまった建物で、附属(ふぞく)の便所、敷地を囲む煉瓦塀など、明治時代の税関施設の状況をよく伝えています。資料的価値が高いだけでなく、海岸沿いに建つ建物として、景観上も重要な役割を果たしています。