世界遺産とは?

世界遺産は、地球と人類の歴史によって生み出された「世界中のみんなのたからもの」です。これら人類共通の遺産を未来に守り伝えていくために、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は1972年に「世界遺産条約」を採択しました。2014年12月現在、191カ国がこの条約に締結しています。世界遺産とはこの世界遺産条約に基づく世界遺産リストに記載された遺産のことで、その中には「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」の3つの種類があります。

文化遺産

建物や遺跡など、人間がつくったもの。世界的に見て価値の高い建物や遺跡、彫刻や絵画などが含まれます。

代表的な例
  • タージ・マハル(インド)
  • ケルン大聖堂(ドイツ連邦共和国)
  • メンフィスとその墓地遺跡~ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯~(エジプト)
  • 法隆寺地域の仏教建造物(日本・奈良県)
  • 厳島神社(日本・広島)

自然遺産

すぐれた地形や地質、生態系、景観、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地など、自然のものが含まれます。

代表的な例
  • グランド・キャニオン国立公園(アメリカ)
  • キリマンジャロ国立公園(タンザニア連合共和国)
  • 屋久島(日本・鹿児島県)

複合遺産

文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えているもの。

代表的な例
  • マチュピチュの歴史保護区(ペルー)

※2014年12月現在、世界遺産の登録件数は1007件です。そのうち文化遺産は779件、自然遺産は197件、複合遺産は31件となっています。

世界遺産登録までの流れ

ユネスコ「世界遺産暫定一覧表」に記載

「推薦書」の原案や各種資料の作成、文化財指定などを行う

提出年度

  • 国からユネスコ世界遺産委員会に「推薦書」を提出

次年度

  • 専門機関による調査。文化遺産は国際記念物遺跡会議、自然遺産は国際自然保護連合が調査を行います。

次々年度

  • ユネスコ世界遺産委員会での審査・登録決定。世界遺産委員会は条約を締結している21カ国の代表から構成されており、原則年1回行われます。

これまで

推薦書原案作成作業

  • 世界遺産の条件となる「顕著な普遍的価値」の証明
  • 国内法における万全の安全措置等

平成25年4月

  • 政府に推薦書原案を提出

平成25年9月

  • 政府がユネスコ世界遺産センターへの推薦案件資産を決定、推薦書暫定版を提出

平成26年1月

  • 政府がユネスコ世界遺産センターに推薦書正式版を提出

平成26年9月~10月

  • イコモス(国際記念物遺跡会議)による現地調査

平成27年7月5日

  • ユネスコ世界遺産委員会で世界遺産一覧表への記載決定

世界文化遺産としての価値

 幕末から明治期にかけて、日本は西洋の幅広い知識と技術を吸収し、製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業における急速な産業化・近代化を達成しました。日本が西洋以外の地域の中で先駆けて産業の近代化に取り組み、約50年という極めて短い期間に産業国家としての地位を確立したことは、世界史上において特筆すべき出来事でした。これら一連の流れを時間軸に沿って、現存する建造物等によって証言しているのが、「明治日本の産業遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」です。

「明治日本の産業遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」 の顕著な普遍的価値は様々な点から評価されています。急速に近代化を進める中で、日本の文化的伝統を基礎として日本独特の産業文化が発展したこともそのひとつです。
江戸時代、武士階級だった人々は明治維新とともに身分や帰属する組織を失いました。彼らは武士道精神を宿しながら、西洋の技術に畏敬の念を持ち、積極的に技術を取り入れることを選択します。それによって西洋の技術を吸収するだけでなく、それまで継承されてきた「匠の技」や文化力が素地となって、日本独特のものづくり文化が発展したのです。その代表的な例が長崎造船所であり、八幡製鐵所といえます。
日本における急速な産業化は西洋諸国による植民地化や経済支援によるものではありませんでした。自らの意思において西洋の技術を取り入れ、日本の伝統的な技と組み合わせて、日本に適した技術を開発することで成し遂げたのです。 中でも西洋文化の窓口だった長崎は近代化を支えた技術の発信地でした。長崎市内には、後に日本を世界的な経済大国に押し上げる原動力となった産業革命遺産8資産が残っています。