鮮度がいいのは当たり前。だからこそ、手を抜かない

鮨ひのか
野瀬 泰行さん

手当てにこだわり、魚の旨みを引き出す

2023年に長崎で店を構えた「鮨ひのか」。握るのは、修業24年の鮨職人・野瀬泰行さん。長崎で基礎を積み、東京の高級店で江戸前の技を磨いてきた。「長崎の魚は鮮度が良い。だからこそ手を抜けない。ちゃんと手当して、寝かせて、旨みを引き出すのが私の仕事です」。1℃の冷蔵庫で丁寧に熟成させる工程は、職人ならではの仕事。鮮度が良いからこそ、水分の抜け方やアミノ酸の変化が繊細で、職人の技が味に直結する。

例えばアカムツ(ノドグロ)。「いいのはあたりまえ。その上で、技で脂と旨みをどこまで引き出せるか。そこに鮨職人の腕が出る」。天然が基本だが、地元の戸石で始まった養殖ウニにも注目し、安定供給ができれば長崎の鮨業界全般に新たな可能性が広がるという。

握りの要はネタとシャリの“融合”だ。ネタもシャリも組み合わせによって温度を変える。マグロの場合は脂を楽しんでもらうため、シャリは38〜40℃と高めの温度に。また青魚の場合は臭みを抑えるためマグロより低く設定する。すべて計算の上で決めている。「甘いシャリにゴリゴリの魚ではなく、鮮度がいいからこそ、その先にある“物語”を握りたい」。と野瀬さん。

一貫の中で、温度、香り、食感がほどけていくような鮨を目指す。